遺言・遺産相続の基礎知識

知っておきたい遺言・遺産相続の基本の知識をご紹介

相続とは?相続手続きの流れ

民法では「相続は、死亡によって開始する」「相続人は、相続開始の時から、被相続人に属した一切の権利義務を承継する」とあります。簡単にいえば、「被相続人(亡くなった人)の財産上の地位を相続人が自動的に受け継ぐこと」なのです。そこには、遺産の分割や、登記などの手続きは何も必要ありません。相続は被相続人が死亡した瞬間に開始するのです。よく、「3年前に親父が亡くなったけど、まだ何も相続してないよ」という人がいますが、これは間違いです。

相続に関する手続きのタイムスケジュール

  • 死亡届:7日以内
  • 遺言書の検認:遅滞なく
  • 相続の放棄または限定承認:3カ月以内
  • 死亡した人の所得税の申告・納付(準確定申告):4カ月以内
  • 相続税の申告・納付:10カ月以内
  • 遺留分減殺請求権の時効:1年間、除斥期間10年

遺産分割:いつまでにしなければならないという決まりはありませんが、放っておくのは紛争のもととなるため、なるべく早く協議を終えるようにしましょう。

法定相続人とは

民法では、遺産を相続出来る人を定めていて、それを法定相続人と言い、相続人になる人の順序も定められています。

誰が相続人になるの?

相続人の範囲については、法律で定められています。また、相続人となるものには順位があって、具体的には次のようになります。

  1. 配偶者+子(養子、胎児、非嫡出子(内縁関係で生まれ、認知された子)を含む)
  2. 配偶者+父母(父母が亡くなっているときは祖父母、曾祖父母の順)
  3. 配偶者+兄弟姉妹

配偶者がいなければ、子のみ、父母(祖父母)のみ、兄弟姉妹のみとなります。

配偶者は常に相続人

相続開始時に被相続人の配偶者であった者は、どんな場合でも相続権者となります。その後再婚したとしても、相続の権利は失いません。ただし、相続開始前に離婚した過去の配偶者に相続権はあません。配偶者とは法律上、婚姻届を提出した者で、内縁関係は含まれません。

子供のいない方は、遺言書をつくることを強くお勧めします。詳しくは「こんな場合はぜひ遺言を」をご覧ください。上位順位の者がいる場合、下位順位の者は相続人になれません。

孫や甥・姪が相続人になるとき

上記1の場合に被相続人よりも、先に子が亡くなっていたときに、亡くなった子の代わりにその子(被相続人から見て孫)が相続します。これを代襲相続と言います。さらに、孫も亡くなっているときは、その子(被相続人のひ孫)というように、どこまでも代襲していきます。上記3で被相続人の兄弟姉妹が亡くなっている場合、ここでも代襲はありますが、一代限り(被相続人から見て甥・姪まで)です。

胎児・養子・非嫡出子・連れ子

胎児も相続権を持ちます。ただし、実際に相続が実行されるのは生きて生まれた場合のみです。ちなみに、胎児を抜きにした遺産分割は無効になります。そのため子供が生まれた時点で、遺産分割のやり直しを行います。その為、分割協議は子供が生まれてから行うのが良い方法だと言えます。

養子に関しては、実子と同じように相続権者となります。さらに、養子として他家に出した子でも実親と養親双方の相続権者になります。ただし昭和63年1月1日より施行された特別養子制度によって養子に出た子は、実親の相続権者にはなれません。また、妻の姓を名乗り、妻の実家に入って義理の両親と一緒に暮らしている娘婿であっても、養子縁組の届出がない限り、法定相続人とはなりません。

非嫡出子(内縁関係の子、愛人との子など)も、認知(相続開始前・後にかかわらず)があれば、相続権者となります。再婚した配偶者の連れ子に関しては養子縁組をしない限り、相続権は与えられません。

相続人になれない人とは

法定相続人であっても、相続人になれない人がいます。それは、一定の違法行為を行ったために相続欠格に該当すると認定された人や、被相続人によって相続を廃除された人のことです。

相続欠格程ではないにしても、被相続人に対して虐待をし、もしくは重大な侮辱を加えたとき、その他、著しい非行があったときに、家庭裁判所へ申立てをすることによりその者の相続権を失わせることできます。これを相続廃除といいます。現代版の勘当と言えるかもしれませね。この申立ては、生前でも、また遺言で指示することもできます。遺言で廃除の意思が示されていた場合は、遺言の執行を託された遺言執行者が家庭裁判所に申し立てます。

もし、被相続人の気が変わったら、廃除の取り消しを家庭裁判所へ申立てることもできます(遺言で取消しを求めることもできます)。

相続欠格や廃除されるとその相続人は相続権を失いますが、相続人に子がいる場合は、孫が代襲相続人となり相続することになります。